概要
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このサイトは、「健康な土壌こそが健全な作物を育てる基盤である」と考えている農家の学び合いの場を目指しています。
「カーボンファーミング(炭素農法)」は、「リジェネラティブ農業(再生型農業)」の概念と大きく重なり合うものであり、単なる流行語ではなく、土壌の劣化と気候変動という二つの危機への実践的かつ希望に満ちた対応策です。このページでは、この農法の根幹にある考え方を紹介し、それぞれのトピックをさらに詳しく解説する記事へのリンクも集めて行きたいと思います。
カーボンファーミングとは、大気中の炭素を土壌に貯留(=炭素隔離)する農法を指します。慣行農業では、炭素が失われることが多いのに対し、カーボンファーミングでは土を「炭素の貯蔵庫」に変えることで、土壌の健康を向上させるだけでなく、気候変動の抑制にも貢献します。
なぜ炭素が重要なのか?
炭素は土壌の肥沃さを支える鍵です。有機物、微生物の活動、水分保持力、団粒構造などは、安定した炭素によって支えられています。炭素が大気中に放出されると、土壌は劣化し、同時に地球温暖化も進行します。炭素を土に戻し、そこにとどめておくことこそが、作物と地球の未来にとっての最善策だと思われます。
基本の実践
・最小限の耕うん
耕すたびに、土壌中の微生物群が乱され、炭素がCO₂として大気に放出されます。カーボンファーミングでは、耕うんを最小限に抑え、土壌構造や菌類ネットワーク、炭素貯留機能を守ることが重要です。
・絶え間なく「生きた根」を育む
カーボンファーミングのもう一つの柱は、「常に生きた根を地中に保つこと」です。光合成を行う植物は、根から糖分(=炭素)を土壌中の微生物や菌類に供給し、その見返りとして必要な養分を受け取ります。これにより、土壌生態系は持続的に循環し、地表の被覆によって乾燥や流出も防がれます。
・多様性の重視
自然は単一性を嫌う。言い換えれば自然の掟は「多様性こそが安定」。であればカバークロップや畝間、オフシーズンに自生する雑草など、多種多様な植物の存在は、病害を抑える微生物の多様性につながります。カーボンファーミングでは、このような多様性が重要視されます。
・バイオ炭と燻炭
バイオ炭は主要なカーボンファーミングの柱としては語られませんが、土壌に投入される有機物の半減期が7〜15年であるのに対し、炭として土に入った場合は1000〜2000年の寿命を持つとされています。日本では伝統的に使われている「燻炭(もみがら燻炭)」も、実は数百年単位で炭素を固定する手法です。英語では「carbon sequestration」とも言います。バイオ炭は、微生物や栄養素を含浸させることで、土壌の団粒化、水分保持、通気性、排水性を改善します。
・化学肥料や農薬の使用を最低限に
カーボンファーミングでは、必ずしも化学肥料や農薬を完全否定するわけではありません。しかし、豊かな微生物・菌類ネットワークのある健全な土壌では、それらに頼らずとも病害の抑制と養分供給が可能です。結果としてコスト削減、収量増加、栄養価の向上が期待できます。
📗 もっと深く読む: ⇒ カーボンファーミングとゲイブ・ブラウン
関連トピック一覧:
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